公職選挙法違反防止のための有権者の注意点
概要
2020-07-05 Sunに東京都知事選挙が行われた。選挙当日に誰に投票したかをSNSで投稿した。その後,公職選挙法でこの行為に問題ないか気になり確認するとNGだとわかりすぐに削除した。
平成25年 (2013年) にインターネット選挙が解禁され,有権者も手軽に選挙運動ができるようになった一方,有権者の公職選挙法への抵触の可能性も上がった。
公職選挙法の有権者にとってのポイントがよくわからなかったので調査して整理した。
根拠
まず,公職選挙法については総務省の「総務省|インターネット選挙運動の解禁に関する情報」によくまとめられている。その中でも,最低限チラシを見ておけば十分だ。
まずインターネット選挙解禁前の現行規制 (基本規制) について把握しておく。これが公職選挙法の基本となるためだ。現行規制については「総務省|現行の選挙運動の規制」にわかりやすくまとめられている。
ここからポイントとなるものを以下の表に抜粋して整理した。
用語 | 説明 |
---|---|
選挙運動 | 特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為。 間接的に有利なケースも選挙運動に該当する点に注意する。 |
選挙運動期間に関する規制 | 選挙運動は、選挙の公示・告示日から選挙期日の前日までしかすることができません(公職選挙法第129条)。 選挙当日の選挙運動はNGな点に注意する。 |
未成年者等の選挙運動の禁止 | 満年齢18歳未満 (17歳以下) は選挙運動が禁止されている。 |
文書図画の頒布の規制 | 選挙運動のために使用する文書図画※は、インターネット等を利用する方法により頒布する場合を除き、公職選挙法第142条に規定された一定のもののほかは、頒布することができません。 一定のもの以外の印刷物の頒布も禁止。なお,公職選挙法第142条で規定された頒布物はハガキとビラであり,頒布に枚数制限がある。 |
上記の表に整理した内容から,基本的なところを抜き出して説明する。
まず,規制の対象となる「選挙運動」だが,こちらは直接的だけでなく間接的に候補者に有利なケースも選挙運動に該当する点に注意する。そのため,自分の意図しない行動も選挙運動に該当する場合があることに注意が必要だ。
そして,この「選挙運動」は選挙期間 (選挙の公示・告示日から選挙の前日) までしかできない。そのため,選挙当日の選挙運動は公職選挙法違反となることに注意する。
つまり,これらの2点から,選挙当日の投票後に誰に投票したかSNSなどに投稿すると公職選挙法違反になってしまう。投票先の表明は間接的に候補者に有利に働くため,選挙運動に該当し,選挙期間外に選挙運動することになるためだ。投票先を表明する場合は,選挙期間中か選挙後 (選挙日の20:00以降) に行うようにしたい。
その他,満年齢18歳未満は選挙運動自体が禁止されている。18歳未満は有権者ではなく,選挙にそもそも参加できない。高校を卒業するまではおとなしくしていよう。
最後に,選挙運動時のビラは頒布枚数に制限がある都合,勝手に印刷して頒布してはいけない。DMなどによる選挙運動は,立候補者の公式の選挙事務所経由で行う必要があるだろう。
インターネット選挙
肝心のインターネット選挙での注意だが,一番のポイントは電子メールの取り扱いだろう。
まず,有権者は電子メールを使った選挙活動は以下のように禁止されている。ただし,SMTPやSMS以外のLINE,チャットなどのウェブサービスは可能となっている。
この他は,「総務省|インターネット選挙運動の解禁に関する情報」のチラシにある通り,誹謗中傷,Webサイトの改ざん,なりすまし,虚偽の事項の公開など当たり前のことが書かれている。
結論
公職選挙法における有権者のポイントを整理した。結局,ただの有権者でいる間は以下の3点に注意を払っておけば問題ないだろう。
実際に立候補者の選挙事務所の事務員として応援する場合,規制のぎりぎりのラインなどを攻める必要もあるだろうから,より細かい規制などの確認が必要だろう。
ただ,投票するだけの有権者でいる間は上記3点に注意を払って,迂闊なことをしないように注意しよう。