FSFのメンバーシップと特典の一覧 | たった年間約5万円の会費で名簿掲載の栄誉を獲得可能
概要
以前,FSF (Free Software Founcation: フリーソフトウェア財団) の加入記事を投稿した。その中で,FSFにはいくつかのメンバーシップ (会員ランク) があることと,メンバーシップごとの特典について軽く言及した。
しかし,軽く言及しただけで,きちんと整理していなかった。メンバーシップのグレードアップを考えており,この機会にメンバーシップとその特典の一覧を整理することにした。
結論としては,年会費が500 USD以上となるSupporting MemberとContributing MemberだけThank GNUsに掲載される特典が追加であり,それ以外は年会費以外は同じ特典となる。
そのため,加入するならば,最安の年会費のAnnual Associate Member (120 USD) か,Thank GNUsに掲載されるContributing Member (500 USD) の2択であり,FSFへの加入を客観的に証明するためにContributing Memberが望ましいだろう。
メンバーシップ一覧
FSFへの加入ページ (Join the FSF | Free Software Foundation) を開くと,年間の会費に応じた地位 (メンバーシップ) が掲載されている。
FSFのメンバーシップはこちらに掲載されている年会費に応じた8段階となっている。その一覧を以下に掲載する。
会費 [USD] | Membership | |
---|---|---|
1000 | Supporting Member | 支援会員 |
500 | Contributing Member | 貢献会員 |
350 | Go above & beyond | |
200 | Give a little more | |
120 | Annual Associate Member | 年間賛助会員 |
60 | Annual Student Associate Member | 年間学生賛助会員 |
10 | Monthly Associate Member | 月間賛助会員 |
5 | Monthly Student Associate Member | 月間学生賛助会員 |
下4個は賛助会員のバリエーションのとなっており,賛助会員というくくりでは同一のメンバーシップとなるだろう。
これらのメンバーシップごとに特典が存在するので,説明する。
賛助会員共通特典
まず,加入した全会員 (Associate Member) 共通の特典が「Associate Member Benefits — Free Software Foundation — working together for free software」に掲載されている。
以下にその日本語の対応と意味の解説の一覧を掲載した。
項目 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Sustaining support of the FSF (aka “warm inner glow”) | FSFへの継続的支援 | FSFを継続的に支援するという栄誉。 |
Ultra-slim USB membership card | USBメンバーシップカード | Trisquel Live GNU/Linuxがインストールされたメンバーシップカード。「念願のFSFのメンバーカードの入手 」で実物を報告した。 |
FSF member badge | FSFメンバーバッジ | 会員ページから加入年月が掲載された以下のような画像のバッジを取得可能。 |
Email forwarding | 電子メールフォワーディング | FSF会員用のmember.fsf.org のドメインの電子メールアドレスの最大5個までのエイリアスが使用可能になる。エイリアスなので,電子メールサーバーは他に必要となる。 |
Free entry to the LibrePlanet conference | LibrePlanetカンファレンスへの無料入場 | FSFの年次カンファレンスであるLibrePlanetの参加費が無料。 |
20% discount on FSF merchandise | FSFショップの20 %引き | FSFショップの商品を20 %引きで購入可能。 |
5% discount on hardware from ThinkPenguin | ThinkPenguinからのハードウェアの5 %引き | ThinkPenguinで販売されているハードウェアの5 %引きで購入可能。 |
Biannual FSF bulletin | 年2回の会報 | 年に2回 (春と秋) にFSFの会報を受け取る。会報の内容は「#fsfbulletin FSFの2019年秋の会報の到着報告 」などで報告している。 |
IRC cloak on Freenode | FreenodeでのIRC cloack | IRCサーバーのFreenodeでIRC cloakを受け取れるらしい。よくわかっていない。 |
Use of an XMPP (Jabber) server | XMPP (Jabber) サーバーの使用 | オープンなチャットプロトコルであるXMPPのサーバーが使えるらしい。まだ試していない。 |
Digital Credit Union eligibility | Digital Credit Unionの資格 | アメリカのメンバーだけDigital Federal Credit Unionへの参加資格があるらしい。 |
LibreOffice Certification | LibreOffice認定 | 以前はThe Document FoundationのメンバーだけとLibreOfficeのプロジェクトメンバーだけが利用できたLibreOffice認定の対象となった (詳細: Program)。 |
Ask a friend or free software supporter to become an FSF member, to build a stronger movement! | 友人やフリーソフトウェアのサポーターのFSFメンバーへの勧誘 | FSFメンバーになったことで他の人に強く勧誘したり広めたりできるようになる。 |
Tax deduction in the USA | アメリカでの税控除 | アメリカでは501 (c)(3) charityに該当するらしく,会費が税控除の対象になる。日本では寄付控除の対象となっていないので,税控除を活用したければ,経費扱いにするしか無いだろう。 |
USBメンバーシップカード,FSFメンバーバッジ,年2回の会報あたりがわかりやすい特典だ。もっとも,1番目のFSFに加入して,FSFプロジェクトを支援するという栄誉が一番の特典だろう。
Thank GNU
共通特典とは別に,Supporting MemberとContributing MemberはThank GNUsへの氏名の掲載が可能になる。
名簿に掲載されるだけで,こちらは何かメンバーシップカードのようなものがもらえたり,感謝状が届いたりするわけではない。こちらも名簿掲載という栄誉の面が大きいだろう。
Thank GNUsというのは,年間500 USD以上の寄付者の公開名簿のことだ。毎年発表されている。
年間の寄附金額に応じて,以下のグレードが存在する。
種類 | 対象者 | |
---|---|---|
Equipment and Services | 設備とサービス | 企業後援者の内,設備やサービスの提供者 |
Patrons | 後援者 | 年間5000 USD以上の寄付者 |
Sustaining Contiributors | 継続的貢献者 | 年間1000 USD以上の寄付者 |
Contributors | 貢献者 | 年間500 USD以上の寄付者 |
Others | その他 | その他 (過去のリストでも掲載なし) |
名簿に掲載されるだけであれば,年間500 USD寄付したり,FSFの会費をContributing Memberにグレードアップするだけでいい。
結論
FSFのメンバーシップと特典について整理した。メンバーシップは8段階存在するが,共通特典があり,500 USD以上の年会費でThank GNUsに掲載されるという違いがあった。
従って,加入するならば,一番会費の安いAnnual Associate Member (年会費120 USD)か,Thank GNUsに掲載されるContributing Member (年会費500 USD) の2択だろう。
FSFに加入してもメンバーの名簿を閲覧できるわけではない。Thank GNUsに掲載されないと,第三者にFSFへの加入を証明できない。どうせ年会費を払ってFSFに加入するならば,名簿で第三者に加入を証明できる「Contributing Member (年会費500 USD)」のメンバーシップがベストではないかと感じた。
500 USDは日本円で約5万円となる。FSFが現在の情報社会に不可欠であり,今までもこれからも無料でプロジェクトの成果を仕事でも使用可能なことを考えると,年間約5万円,月4000円程度でFSFの支援という栄誉を獲得できるのは高くはないだろう。
Contributing Memberへメンバーシップをグレードアップして,Thank GNUに掲載されるようにしたい。
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