政府の公開データの著作権
オープンデータを使ったサービスをするために,データの著作権が気になったので調べた。
例えば,環境省の環境放射線の観測データを公開しているサイト(環境放射線等モニタリングデータ公開システムとはhttp://housyasen.taiki.go.jp/about_homepage.html)では以下の様に記載されている。
「本サイト上に掲載されている資料・データ等の著作権は、環境省が保有します。」
著作権について調べていると,単なる数値はあくまで事実であるため著作権の対象外という説が多い。
つまり,「データは数値だが,HPには著作権は保有していますと記載」されており意味がわからなくなった。
この疑問を解消すべく以下の相談室でこの内容を相談して回答を得た。
- 数値データ -> これ自体は著作権の対象外。
- 基本的には無断で使っても著作権にはひっかからない。ただマナーの問題がある。
- ただし,編集して表になっている -> 編集著作物。
- 丸丸コピーするとこれに引っかかる。
- 著作権法第32条第2項によれば,政府が一般への周知を目的として作った資料はその他の刊行物に記載できる。
著作権法32条2項
国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
そのため,政府の公開データを情報配信に使用しても問題ないと思われる。
実際に使う場合は出典の表記や連絡を入れておくのが無難。
2次利用について
2014-06-22追記
元データの情報配信は問題ないことがわかった。しかし,2次利用については確認を忘れていた。つまり,データをグラフにしたり重ねたり,ランキングなどをとって新しい統計値を出して公表してもよいかどうかだ。この確認ができていなかったので確認した。
著作権情報センターCRICに電話で問い合わせたところ以下の内容の回答を得た。
著作権方43条2項に以下の記載がある。
第四十三条 次の各号に掲げる規定により著作物を利用することができる場合には、当該各号に掲げる方法により、当該著作物を当該各号に掲げる規定に従つて利用することができる。
一 第三十条第一項、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十四条第一項又は第三十五条 翻訳、編曲、変形又は翻案
二 第三十一条第一項第一号若しくは第三項後段、第三十二条、第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第三十九条第一項、第四十条第二項、第四十一条又は第四十二条 翻訳
これにしたがうと,著作権法では政府公開データの2次利用については翻訳のみ可能である。実際に2次利用する場合は提供元に問い合わせる必要があるとのことだった。
そこで,政府でオープンデータを推進している「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)」にこの件について電話で問い合わせた。
参考:高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/
すると,出典を明記すればグラフ化などの2次利用は問題ないとの回答を得た。 出典の明記とは,例えばグラフの下などに,「〜のデータを元に作成」といった具合に記載すればよいとのことだ。
このことから,政府公開データを使った情報配信サービスは実現できそうだと判断できる。実際に商用で使うには提供元に一報入れるべきである。
政府公開データの利用について悩んでいる方の参考になれば幸いである。