BibTeXのbibファイルのMS Wordでの利用方法
概要
LaTeXで使う文献データベースファイルとして.bibファイルがある。これはBibTeXという文献を引用したり、文献一覧を掲載するときに必要なソートなどを行ってくれるTeXの論文執筆にほぼ必須なツールで使う形式のファイルである。このbibファイルの形式は文献書誌情報の事実上のデファクトスタンダードとなっており、たいていの文献サイトではこの形式での書誌情報の出力に対応している。
bibファイルはテキストファイルであり、JabRefというようなbibファイルの文献管理ソフトを使うことで効率よく文献情報を収集でき、pdfと連携しているため検索により素早く文献を読むことができる。今では論文だけでなく、チラシやマニュアル、家電製品の説明書、電子書籍など大部分の電子マニュアル・本をこれで管理している。
LaTeXだけで完結しているならば問題ないが、MS WordやLibreOffice Writerで文章を書く必要に迫られる時があり、そうしたときに文献を引用するときにbibファイルのデータベースを活用できなくて困る。どうにかしてbibファイルをWordでも使えないかとここ数日調べ、ある程度まとまったのでここに記す。
MS Wordとの連携には大きく3通りある。
それぞれ説明する。
Bibtex4Word
Bibtex4Wordでの連携方法は文量が多くなったので「BibTeXとMS Wordの連携ツール「Bibtex4Word」の使用方法」に分離したのでこちらを参照する。
XMLファイルにエクスポート
実行方法
- 参考:
- http://www.ademcan.net/index.php?d=2012/01/30/15/23/05-using-jabref-references-in-word-documents&PHPSESSID=75ts13su20g3fnikdlp0gl3gi0
- JabRefでの操作
-
- JabRefでbibファイルを開く
- ファイル->書き出す->
- ファイルのタイプ:
- MS Office 2007 (*.xml)
- Wordでの操作
-
- 参考資料->資料文献の管理->参照
- さっきエクスポートしたxmlファイルを選択。すると資料文献の保存先bibの欄に書誌情報が登場
- 必要な物を選択->コピー->閉じる
- 引用方法:
- 引用したい場所で参考資料->引用文献の挿入->引用する項目を選択
- 一覧の挿入:
- 参考資料->文献目録->「引用文献、文献目録、文献目録の挿入」のどれかを選択。違いは見出しが付くかどうかと、見出しの名前
メリットとデメリット
- メリット:
-
- 操作が簡単
- Wordの元々の機能を使うので他のシステムと併用しやすい
- 最悪気に入らない部分は手動で修正可能
- デメリット:
-
- 引用のスタイルと一覧のフォーマットのカスタマイズが困難
- 引用していなくても登録した文献全てが一覧に表示される
- 引用時に検索が使えず、目視でリストから選択する必要あり
- TeXコマンド(\”{o}など)は反映されない
- 学会の文献フォーマットが既知か、スタイルが配布されている
- 文献フォーマットが自由
csvに出力・編集
- ファイルのタイプ:
- Open Office CSV(*.csv)
- メリット:
-
- 汎用的。表計算ソフトでなくてもマージ・ソート可能
- Word以外のワープロでも適用可能
- bibtexや文献書式に関する知識がなくても簡単
- 雛形となる表計算ソフト関数や加工スクリプト・プログラムを用意しておけば以降は簡単に用意可能
- デメリット
-
- 可能なのは文献一覧だけで、引用は不可->文献一覧と引用のリンクも不可
- 引用した文献だけを一覧に載せる際には、対応を自分で確認する必要あり
- 加工のテンプレを作るのが面倒
- TeXコマンド(\”{o}など)は反映されない
wordの文献スタイル
- 参考:
-
- http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/office/bb258052%28v=office.12%29.aspx
- 上記の日本語http://slashdot.jp/journal/563202/Working-with-Bibliographies
- http://slashdot.jp/journal/530943/Word-%E3%81%AE%E6%96%87%E7%8C%AE%E7%AE%A1%E7%90%86
- Open XML http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/cc820649.aspx
- http://superuser.com/questions/152290/how-to-change-the-style-of-a-source-reference-in-word
- http://msdn.microsoft.com/en-us/library/office/jj851016.aspx
Docear4Word
- 参考:
- http://www.docear.org/2012/09/03/docear4word-1-0-managing-citations-bibliographies-and-references-in-microsoft-word-based-on-bibtex/
- インストール
- インストールするとwordの参考資料タブに新しい項目が登場
- settingsでbibファイルを指定
結論
bibファイルをWordと連携させる3通りの方法についてまとめる。
- 最も汎用的な方法:
- csvファイルに出力してマージ・ソート
- 引用と文献一覧のリンクはつかない
- 引用した文献だけ文献一覧に載せるには自分で対応の把握が必要
- TeXコマンドの入った項目の修正が必要
- TeXユーザーにとってベスト:
- bibtex4word
- TeX Liveでは(私は)うまくいかなかった
- BibTeXの動作の再現性がおそらく最も高い
- 非TeXユーザーには負担が大きい
- 無難な方法:
- xmlに出力
- スタイル(XSL)のカスタマイズが困難
- TeXコマンドの入った項目の修正が必要
- 引用項目の検索はできない
MendeleyやZoteroも検討してみてが、結局のところ細かいスタイルの修正にはXSLのようにCSL (Citation Style Language)という記法でスタイルファイルを定義してやらないといけず、これの記法を覚えるのが非常に負担。WordやWriterで文献引用を楽にうまくやる方法はないものだろうか。誰かご存知であればいつでもいいので教えていただきたい。
現状では、結局のところbibファイルをCSVに出力して表計算ソフトなんかで文献一覧だけ用意してやるのが一番楽でよいという結論になりそうだ。ただ、これだと文献一覧と引用のリンクが貼れないのでなんだかイマイチだ…。