NVIDIA Jetson NanoのUbuntu 18.04のデスクトップ環境がUnityである理由
NVIDIAのJetson NanoのUbuntu 18.04のデスクトップ環境にUnityが採用されている理由を整理した。
結論としては,GNOME Shellにパフォーマンスの問題があったので,Unityをデフォルトで使用するようにしたそうだ。
概要
NVIDIAが販売しているマイクロコンピューターのJetson Nanoには基本的にNVIDIAが提供している [Jetson Nano Developer Kit SD Card Image] をSDカードに書き込んで使用する。
2020-12-12 Sat時点 (Jetson Nano 32.4.3) では,このSDカードの中身はUbuntu 18.04ベースになっている。しかし,GUIで起動するとデスクトップ環境がUnity (Window manager=Compiz) になっている。Ubuntu 18.04から標準のデスクトップ環境はGNOME (Window manager=GNOME Shell/Mutter) になっており,UnityはUbuntu 18.04以前で使われていた古いデスクトップ環境となっている。
しかし,Jetson Nanoではわざわざ古いUnityをデフォルトで使うようにカスタマイズされたものがDeveloper Kitとして提供されている。Unityの他にGNOMEもデフォルトでインストールされているので,UnityではなくGNOMEを使うことも可能になっている。わざわざUnityをデフォルトで使っているからには,何かしら理由があると思われるのだが,その理由がネット上に見当たらなかった。
GUI環境をカスタマイズする際に,Window managerによって挙動が異なる。実製品でどちらを使うべきかは重要な判断になる。そこで,念のためForum (Why does Jetson Nano Developer Kit SD Card Image use Ubuntu Unity desktop? – Jetson & Embedded Systems / Jetson Nano – NVIDIA Developer Forums) で質問したところ疑問が晴れたので記す。
理由
以下のNVIDIAのモデレーターのDaneLLLの回答が答えになっている。
つまり,ウィンドウマネージャーにGNOME Shellを使った場合,パフォーマンスに問題があったため,デフォルトでUnityを使うようにしたらしい。
ついでに技術レポートの有無を問い合わせたところ,内部開発で発見した問題らしく,特に一般公開している情報ではないらしい。
具体的にどういう問題があったのか気になるところではあるが,ひとまずUnityを採用している理由の裏付けを取ることができた。
開発元がパフォーマンスの問題があってGNOMEを使うことを避けている以上,Ubuntuの標準環境と外れてしまうのが気になるが,製品ではおとなしくUnityを使ったほうが無難だと思った。
結論
Jetson NanoのUbuntu 18.04でUnityが採用されている理由を記した。
意外なことにこのような標準から外れた不可解な設定であるにもかかわらず,その理由がネット上では見当たらなかった。こういう製品ベンダーごとの独自仕様は,公式にちゃんと問い合わせないかぎりわかりっこないので,きちんと裏付けを取ることができたのは良かった。
ひとまず,GNOME Shellではパフォーマンスの問題があるらしいので,問題が解決するまではおとなしくUnityを使うのがよいだろう。
今後のJetson Nanoのバージョンアップで状況が変わる可能性が高いので注意したい。