How to add new user on Solaris 10
Solaris 10でユーザーアカウントを追加する方法を説明する。
Introduction
Solaris 10は以下の3個の条件を満たしている。
- 2021-01-31までメーカーのサポートが継続
- The Open GroupによりUNIX(POSIX準拠)と認証
- 公式サイトでisoが公開されており無料で検証可能
そのため,誰でもSolaris 10という古いUNIX環境を構築し,動作を確認することができる。古のシェルであるBourne shellとksh88に無料でアクセスできるとても貴重なOSだ。しかし,レガシーであるがゆえに,Linuxなどとはユーザーを追加する方法が異なっており手間取ってしまった。
インターネット上には断片的な情報しか見当たらないので,今後のために手順を残す。
Problem
一般的には,ユーザーの追加は以下の手順となる。
- useraddコマンドでユーザーを作成
- passwdコマンドでパスワードを設定
しかし,以下のコマンドでSolaris 10でユーザーとそのホームディレクトリを作成しようとするとエラーが出てしまった。
useradd -m senooken
cp: /home/senooken: Operation not applicable
chown: /home/senooken: No such file or directory
useraddコマンドの-m
オプションでホームディレクトリ/home/senooken
を作成して,ユーザーsenookenを追加しようとしている。しかし,/home/senooken
ディレクトリの作成に失敗しているようだ。
何が問題だったのかを調べているとSolarisの公式ドキュメントが見つかった。
どうやら,Solaris 10では/export/home/
にホームディレクトリを作成して,そこからAutofsで/home
以下にマウントするのが通例のようだ。
公式ドキュメント(ユーザーアカウントの設定 (作業マップ) – Solaris のシステム管理 (基本編))を参考にして,ユーザー追加を行う。
CLI(Command Line Interface)で行う場合と,GUI(Graphical User Interface)を使う場合の2通りがある。操作が直感的でわかりやすいので,GUIでの設定をおすすめする。説明の文量はCLIが短いのでこちらを先に説明する。
なお,Solaris 10で追加できるユーザー名は最大8文字で,パスワードには1文字以上の数字と2文字以上の英字で,6-16文字以内で設定する必要がある。さらに,ユーザー追加作業はrootユーザーで行う必要がある。
CLI
useradd
コマンドで/export/home/
配下にホームディレクトリを指定してユーザーを追加する。
useradd -m -d /export/home/senooken senooken
passwd
コマンドでユーザーにパスワードを設定する。passwd senooken
usermod
コマンドでホームディレクトリの位置を/home/配下に指定して変更する。なお,ホームディレクトリが/export/home/
のままでもよければこれ以降の設定は不要である。
usermod -d /home/senooken senooken
/etc/auto_home
ファイルの末尾に以下の内容を追加する。なお,IPアドレス127.0.0.1
は代わりにlocalhost
を指定しても大丈夫なようだ。senooken 127.0.0.1:/export/home/senooken
設定は以上で完了となる。ログアウトして,追加したユーザーでログインすると,ホームディレクトリが/home/senooken
になっている。
参考:
GUI
端末から以下のコマンドを実行してSolaris管理コンソールを起動する。
/usr/sadm/bin/smc undefinedamp;
[Navigation]→[This Computer]→[System Configuration]→[Users]
rootのログインを要求されるので,パスワードを入力→[OK]
[Users]→[Action]→[Add User]→[With Wizard]
[Step 1: Enter a user name.]:[User Name]を入力し,オプションで[Full Name]と[Description]を入力→[Next]
[Step 2: Enter a user identification number.]:[User ID Number]を入力。特に変更する必要はなく,既定値の100
のままでもいい。→[Next]
[Step 3: Enter the user’s password.]:[◎User Must Use This Password At First Login]→[Password]と[Confirm Password]を入力。パスワードは,6-16文字で,1個以上の数字と2個以上の英字が必要。→[Next]
[Step 4: Select the user’s primary group.]:[Primary Group]は変更する必要はない。→[Next]
[Step 5: Create the user’s home directory]:とくに変更する必要はない。→[Next]。
[Step 5: Specify the mail server.]:変更する必要はない。→[Next]
[Step 7: Review]:内容を確認→[Finish]。
コンソール画面に新しくユーザーが追加される。
これでユーザーの追加は完了。ログアウトして追加したユーザーでログインすると/home/senooken
がホームディレクトリとなる。
参考:Solaris 管理コンソールのユーザーツールを使ってユーザーを追加する方法 – ユーザーアカウントの設定 (作業マップ) – Solaris のシステム管理 (基本編)
Summary
Solaris 10でユーザーを追加する方法を解説した。Solarsi 10自体が古いため,ネット上に残っている情報はもう10年以上前のものがほとんどで,探すのが難しくなってくる。あったとしてもCLIだけのものや,GUIだけのものなど断片的である。今回はGUIの手順で実際の画面キャプチャーも掲載したのでわかりやすく作れたのではないかと思っている。
互換性を考えると,古い環境での動作がネックになってくる。使えるコマンドや,オプション,シェルの挙動など,シェルスクリプトの動作検証環境として役に立つので,Solaris 10での動作環境を持つことをおすすめする。