VimConf 2017に登壇したので感想を記す。

概要

イベント情報
項目 内容
イベント名 VimConf 2017
URL http://vimconf.vim-jp.org/2017/
ハッシュタグ #vimconf2017
開催地 〒101-0022 東京都千代田区神田練塀町3 アキバプラザ
開催日時 2017-11-04 SAT 10:00 ~ 20:00
参加人数 150
発表資料
項目 内容
演題 Vim and Compatibility
スライド(HTML) https://senooken.jp/public/20171104/slide.html/
スライド(PDF) https://senooken.jp/public/20171104/slide.pdf/
動画 https://senooken.jp/public/20171104/movie/

感想

発表は2017-11-04に行ったのだが,参加報告は2018-04-24と約半年かかってしまった。発表の前後で家を購入して引っ越し,その後も資格試験を受験したり,転職活動をしたり,HPを作ったりと,私生活があまり落ちついていなかったので結局だらだらとレポートの執筆が遅れてしまった。

経緯

VimConfは日本で唯一のテキストエディターのカンファレンスだ。ここ数年,年一回秋に開催されている。2017年に初めて参加した。次に参加するときは何か発表したいなと思っていたところ,今年は国際カンファレンスにして規模を大きくすると知った。

たしか,9月に募集が始まり,9/30が締め切りだったと記憶している。PyConJPもそうだったが,大きなカンファレンスに成長するほど,立候補者が増えて倍率が高くなり当選するのが難しくなる。タイミング的に二度とないだろうと思い,募集が始まってすぐ(9/3)に応募した。応募内容は以下の通りだ。

応募内容
項目 内容
発表カテゴリ 初心者枠
王道の使い方 / .vimrc
プラグイン
コントリビュート
Vim以外(IDE・言語・他エディタ)
Vimの最新動向
ハンズオン
◎その他: Tips
発表時間 60分
◎30分
15分
5分 (LT)
発表言語 日本語
◎英語
発表概要(300字程度まで) 開発の潮流において,2種類の流れが存在する。
1. 最新技術を重視する流れ
2. 互換性を重視する流れ
25年以上の歴史を持つVimにおいても,この2種類の流れが存在する。
本発表では,Vimにおける互換性を重視する流れに着目し,Vi/Vimの歴史,代替実装,OS標準Vimのバージョン,標準付属プラグイン・コマンド,互換性を高めるためのテクニックなどを紹介する。

国際カンファレンスだし,スライドはどうせ英語でつくるのだから,英語でやるしかないと思って応募した。

科学技術を探求するものとして,英語ができないのは恥だと思うべきだし,下手でも逃げずにやるべきだと思った。普通に生活していて,英語で話すこと自体なく,英語での発表機会なんて皆無。トレーニングとしても避けてはいけないと思った。実際のところは,英語でのスピーチを選択した人は半分くらいだった。

10/6に結果が出て,当選だった。募集が始まって,すぐに申し込んだので,返事が出るのが遅く感じた。

組版

当初は,DZSlidesでスライドを作ろうかと思ったのだけど,思っていた以上に調整が手間になりそうだったので,以前使ったことのあるShowrを使うことにした。2回目で勝手がわかっており,組版技術も上達したので,前回よりも品質をあげられた。

CSS組版でのスライド作成は,レイアウトの調整が手間だった。今回は,表をふんだんに活用して,うまく配置することにした。見やすさにも気をつけたので,過去のCSS組版での発表資料では一番のできになった。

発表内容

内容はVimの互換性に関する機能のTips集みたいな感じになった。Vimはいろいろ機能が継ぎ足されているので,新しい機能をそのまま使うと,古いVimでエラーが出てしまう。また,文字エンコーディングや改行コード周りは,Vimを使い始めたときから長年の課題だった。作業していると,すぐに文字化けのファイルに遭遇してしまい,かなりいらいらしていた。

国際カンファレンスというのもあり,日本語などのマルチバイト文字圏で生活しているものとして,多言語処理を英語圏の人にアピールすることは大事だと思い,後半は文字エンコーディング周りの話がメインになった。一度しっかりまとめておきたいなと思っていた。スライド作成の1/3~1/2くらいは,文字エンコーディングの調査に費やした。

英語での発表だったので,少し練習した。練習では30分の時間ぎりぎりだった。前回の発表で,時間内に終わらなくて強制終了で惨敗だったのがとても悔しかった。そこで,当日は早く終わるように心がけた。若干,早口過ぎたため,22分くらいで大幅に時間を余らせてしまった。超過するくらいなら,早く終わるほうがましなので,よかった。ただ,発表途中に時間を見て,あきらかにペースが早いなと思っていた。今回のような眺めの話のときは,発表中に時間を見てペース配分を調整する必要があることを学んだ。次回以降の教訓にしたい。

発表してから思ったのだが,なんというか自分の発表は特に目新しいことはなく,技術的に高度であったり,面白いものでもなかったし,たいした成果もない。なぜ当選したのかもあまりよくわかっていない。おそらく,話題の多様性という観点から当選したのだろうと思うが…。

懇親会で,今回のカンファレンスは応募が多くてかなり厳選したときいた。当選に漏れたので,代わりに懇親会でライトニングトークする人もでるくらいだった。こういう話を聞いて,はたして自分はいてよかったのだろうかと思ってしまった。当選したからには,一生懸命スライドを作ったし,発表も一生懸命やった。しかし,一生懸命やってはみたものの,実は他の人に譲ったほうが良かったのではないかと,なんだかもやもやしてしまった。

雑感

今回のカンファレンスで一番印象に残っているのは,お昼のvim-jpレジェンズ3人によるトークショーだ。

その中で,タカタさんの話が特に興味深かった。僕がVimの存在をしって使い始めたのは,大学院だった2014年頃。その当時もVimのコミュニティはあり,残り二人のレジェンズはよく見かけていた。しかし,そのときはタカタさんを見かけなかった。ここ数年になって急激にみかけるようになった。だから,この人は一体何者なのかとても気になっていた。

トークショーの中で,Vimとの関わりについて紹介があった。Vimを知ったのはGitのコミット時のデフォルトのエディターがVimだったからとか。Git自体が2008年くらいに初出のわりと最近のソフト。だから,比較的最近になってVimを使い始めたそうだ。たぶん,タイミング的に僕がVimを使い始めたのと近いタイミングで使い始めたのだと思う。

年をそれなりにとっているように見えるので経験はあるのかもしれないが,そこから一気にVimの主なメンテナーの一人にまでなるとは,素直にすごいと感じた。

後は,レジェンズの一人でもあるmattnさんに挨拶できたのが印象に残っている。あまりイベントなどに出てこない人なので,かなり貴重な機会だった。第一印象は,「関西の素朴なおっちゃん」という印象だった。ネット上での印象が強かったのだけど,実際に対面すると控えめで素朴な印象を持った。また,他のレジェンズ同様に人徳の高さを感じた。個人的には,絡みやすい感じだった。

まとめ

今回の発表は人生ではじめての大衆を前にした英語でのスピーチだった。貴重な話をきけ,滅多にお目にかかれない人に会うことができた。いい経験だった。