書評☆4 偽装請負 | 派遣労働者やSES労働者など偽装請負や多重派遣問題の議論で必須の知識が獲得可能

概要

東大法学部出身の弁護士による偽装請負について解説した書籍となっている。

SES企業に勤務しており,SESという業態は偽装請負や多重派遣などがはびこっており,これらについて知っておく必要があると感じ読んだ。

副題に「労働者派遣と請負の知識」とあるように,派遣に関しての知識が得られるようになっている。

過去の判例や条文も引用しながら,問題と何が違法になるのかが解説されている。

文量も150ページと多くなく,法律を扱う本ではあるが,難解な法律用語はなく,わかりやすかった。

偽装請負が産まれる理由や,偽装請負のケース,さらには偽装請負を是正するための労働組合結成についてまで言及されており,偽装請負や多重派遣問題について必要な知識が得られた。

派遣労働者やSES労働者などで必要な情報だと感じた。

出版が2007年と古くなってしまい,冒頭の改正派遣法のあたりは価値が薄くなってしまったが,それ以外のところは今でも通用する内容だった。

参考

p. 48: 3.1 偽装請負の生まれた理由

偽装請負の生まれた理由として,多くは派遣先の事情として以下が記載されていた。

  • 派遣元の都合: 労働者派遣事業の許可 (一般労働者派遣事業の場合) または届け出 (特定労働者派遣事業の場合) が必要であり、許可がなかったり届け出をしていない
  • 派遣先の都合: 派遣対象業務外の業務,派遣可能期間が短期間,損害賠償請求の負担の回避

偽装請負の発生理由がきちんとかかれており,参考になった。

p. 62: 4.1 派遣契約と請負契約の差異

両者の大きな差異は、労働者派遣がその派遣された労働者に直接指揮命令し、労務を提供させるのに対し、請負の場合には注文者の事業場で働く労働者に対して、注文者は指揮命令することはできない(注文が限度である)ということである。

ただし、その区別は極めて難しいことから、厚生労働省は一定の基準を設けて、その基準(告示第37号)をすべて満たせば請負として取り扱い、一部でも満たさなければ実質は労働者派遣として取り扱うことにしている。

注意しなくてはならないのは、この告示第37号の基準は、一般民事の請負契約よりも逼かに狭いものをもって請負契約としていることでありはたしてそこまで厳格に考える合理性があるのかどうかということである。

派遣と請負の違いが基準も含めて記載されていた。

p. 70: 4.5 要件を満たさない場合

派遣契約の要件を満たさない場合として以下の3ケースを想定して,法的にどういう義務が必要になるかが記されている。

  • 偽装請負
  • 二重派遣,二重請負
  • 多重派遣,多重請負
  • 偽装出向

仮に,違法状態を是正した場合に何が必要になるかの参考になる。

p. 100: 労働者派遣・請負を適正に行うために

厚生労働省が偽装請負防止のためのパンフレットやチェックリストが巻末資料として掲載されていた。

結論

ネット上では法的根拠がないまま,なんとなく偽装請負や多重派遣の問題が書かれているように感じる。

この本を読むことで,偽装請負が発生する理由,違法業態の分類,何が違法となるのか,是正方法など,派遣労働に関する知識が得られる。

派遣労働者やSES労働者などで,働き方や業態に疑問を思い,行動を起こす上で重要な知識が得られる本だった。

パーマリンク: https://senooken.jp/blog/2019/09/16/

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