書評☆4 オブジェクト指向でなぜつくるのか 第2版 | 従来の手続き型言語の欠点を解決するのがオブジェクト指向言語

概要

書名通り,オブジェクト指向 (OOP) でなぜ開発するのかという疑問に答えるために解説されている。

大きく4部構成になっている。

  1. OOPが理解しにくい理由
  2. OOPの登場の経緯,仕組み,メモリー管理
  3. OOPを用いた周辺環境
  4. OOPによる設計

特に,「第3章 OOPを理解する近道はプログラミング言語の歴史にあり」,「第4章 OOPは無駄を省いて整理整頓するプログラミング技術」,「第5章 メモリの仕組みの理解はプログラマのたしなみ」がよかった。

従来の手続き型言語の問題点を指摘し,その問題をOOPでどのように解決しているのかという視点で,OOPの主要な要素を解説しており,わかりやすかった。

従来の手続き型言語では以下2点の問題があった。

  1. グローバル変数が必要
  2. 関数単位でしか再利用不可能

OOPでは,これらの問題をクラスを用いることで解決できるようになった。

また,メモリの仕組みもよかった。関数はクラスや親クラスで共通であったり,メンバー変数はインスタンスごとに個別などの解説があり,キャストしたときなどにどのクラスの関数・変数が使われるのかという点が理解しやすくなった。

このメモリ管理のところは,できることならもっと深く,体系的に勉強したいと感じた。

例えば,新人にOOPを説明することになった場合,この3章から4章の内容を踏まえて説明すればいいのではないかと思った。

章の末尾には,著者が参考にした書籍も紹介されており,今後の参考になる。

ただ,個人的には末尾の方のUMLや設計などの説明は不要だった。

設計の分野においてOOPを適用する場合,どうすればいいか,UMLで現実のプロセスを表現する場合はどうすればいいかなどあって,悪くはないのだが,OOPの理解を深めるうえでは余計に感じた。この点は,他の本で必要になったときに学べばいいかと思い,軽く読み流した。

結論

若手の教育を任される場合にOOPを解説するという視点に立ったときに,この本はわかりやすくてよかった。

他にもOOPの解説本はあったが,自分には今のところこの本の3-5章があっていた。

パーマリンク: https://book.senooken.jp/post/2018/11/07/

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